地理教育 鐵道唱歌 第五集 關西參宮南海各線

作歌大和田建樹28.8Kbps
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作曲大阪師範學校教諭多 梅 稚
作曲奈良師範學校教諭目賀田萬世吉

一、
きしや
汽車
をたよりにおも

いせ
伊勢
やまと
大和
くに
めぐり
  
あみじま
網島
いでゝくわんさい
關西
せんろ
線路
たび
はじめ
めにて
二、
ぞうへいきよく
造幣局
あさ
ざくら さくら
みや
ゆう
すずみ
  
なごりをあと

かへれば しろ
てんしゆ
天守
かす
みゆく
三、

くやなたね
菜種
はなてん
放出
も 
ぎてとくあん
徳庵
すみ
どう
  
まど
よりちか
いこまやま
生駒山


ごと
そび
えたり
四、
しでうなはて
四條畷
あふ
ぎみる せうなんこう
小楠公
みや
どころ
  
ながれもきよ
きくすゐ
菊水
の はたかぜ
旗風
いまもかを
らせて
五、
こころ
はな
さくらゐ
櫻井
の ちゝ
ゐくん
遺訓

にしめて
  

きはかへ
さぬものゝふ
武士
の せんし
戦死
のあとはこの
とち
土地
六、
いひもりやま
飯盛山
をあとにして ほしだ
星田
すぐればつだ
津田
さと
  
くらぢ
倉治
もも
いろ
ふかく げんじ
源氏
たき
おと
たかし
七、
はゝそ
もり
うた
によむ はふその
祝園
すぎてしんきづ
新木津
  
ひだり
きやうと
京都
みぎ
なら
奈良 
なら
奈良
かへ
りにめこ
さまし
八、
きやうと
京都
みち


たる えき
たまみづ
玉水
うぢ
宇治
こはた
木幡
  
さゝき
佐々木
しろう
四郎
せんぢん
先陣
に 
られしかは
もわたるなり
九、
くに
共仁
みやこ
あと

く かも
加茂

ずればひだり
には
  
きづかは
木津川
しろくなが
れたり さら
せるぬの
ごと

くにて
一〇、
かは
のあなたにながめゆく かさぎ
笠置
やま
げんこう
元弘
  
みやい
宮居
あと

くからに ふるはなみだ
むらさめ
村雨
一一、
みづ
をはなれてろくじやう
六丈
の たか
さをわたるてつ
はし
  
すぐればこゝぞおほかはら
大河原
 かはら
河原
いは
のけしきよさ
一二、
うへの
上野
いが
伊賀
とくわい
都會

 はる
はこゝよりきしや
汽車
おりて
  
かげ
もおぼろのつき

に うめ
みるひと
かず
おほし
一三、
つき
おばすて
姥捨
すま
須磨
あかし
明石
 はな
はみよしのあらしやま
嵐山
  
てんか
天下
ひと
つのばいりん
梅林
と きこえしめいしよ
名所
この
やま
一四、
いが
伊賀
やき
いづるさなぐ
佐那具

 はせを
芭蕉
うまれしつげ
柘植
えき
  
せんろ
線路
ひだり
にわかるれば まよ
わぬみち
くさつ
草津
まで
一五、
すゞか
鈴鹿
やま
のトンネルを くぐればはや
いせ
伊勢
くに
  
ふですてやま
筆捨山
ふうけい
風景
を 
よやせき
よりきしや
汽車
おりて
一六、
あらち
愛知
あふさか
逢坂
すゞか
鈴鹿
とて 
つのせきしよ
關所

ばれたる
  
むかしのあと

らぬども せき
ぢざう
地蔵
てら
ふるし
一七、
いはほ
にあそぶかめやま
龜山
の ひだり
をはり
尾張
なごや
名古屋
せん
  
みち
にすぎゆくよつかいち
四日市
 ふね
けむり

えざらん
一八、
ばんこ
萬古
やき
はまぐり
に その


られしくわな
桑名
まち
  

ながしま
長島
にしひがし
西東
 いび
揖斐
きそ
木曾
とのかはなが
川長
一九、
かめやま
龜山
をあとにして いっしんでん
一身田
ゆめ
夢のまに
  
はし
ればきたる
まち
は さんぐう
参宮
てつどう
鐵道
きてん
起点

二〇、
まち
やしろ
まつ
らるゝ かみ
ゆうき
結城
むねひろ
宗廣
  
きこえしてんてう
南朝
ちうぎ
忠義

 まもるかいま
きみ

二一、
あこぎ
阿漕
うら
ひく
あみ
の 
たかぢやや
高茶屋
くもづがは
雲出川
  
わたりながらもなが
めやる もも
のさかりやいかならん
二二、
もめん
木綿
さんち
産地
まつざか
松坂
は もとおり
本居
おう
ふんぼ
墳墓

  
こくがくかい
國學界
たいと
泰斗
とて あふがぬひと
はよもあらじ
二三、
たまる
田丸
えき
ほど
ちかき さいぐうむら
齋宮村
さいおう
齋王
  
むかしくだ
りてこのくに
此國
に 
ませたま
ひしごしよ
御所
あと
二四、
とゞろ
きわたるみやがは
宮川
の どて
土手
さくら
はな
ざかり
  
くも
かすみ
しらゆき
白雪
か にほはぬいろ
なみ
もなし
二五、
いせ
伊勢
げくう
外宮
のおはします やまだ
山田
きしや
汽車

きにけり
  
さんけい
參詣
いそげわが
とも
よ いすゞ
五十鈴
かは
みそぎ
御祓
して
二六、
いすゞ
五十鈴
かは
うじ
宇治
はし
を わたればこゝぞあまてら
天照
  
すめ
おおかみ
大~
みや
どころ ちぎ
千木
たかしりて
たま
二七、
かみ
~

やま
きゞ
木々
あをく 

すそ
かは
みづ
きよし
  

いつ

きじちよ
千代
かけて いづるあさひ
朝日
ともろともに
二八、
いせ
伊勢
しま
志摩
とにまたがりて くもゐ
雲井

てるあさま
朝熊
やま
  
のぼればふじ
冨士
たかね
高嶺
まで かたり
こた
ふるばかりにて
二九、
くだ
りはみち

みかへて 
るやふた
二見
ふた
いわ
  


しまゝのすがた
姿
にて 
つもなつかしうなばら
海原
三〇、
いま
ぞめでたくさんぐう
參宮

を すまして
あと

ちかへる
  
きしや
汽車
かも
加茂
より
りかへて なら
奈良
みやこ
をめぐりみん
三一、
はやとほ
ざかるなら
奈良
まち
町 
おびときでら
帯解寺

ちすぎて
  
わた
るながれはふる
布留
かは
 いし
かみ
とはここなれや
三二、
みやこ
のあとををし
へとよ いへどこた
えぬしづ

  
かへ
るそなたのたんばいち
丹波市
 ふる
布留
やしろ
みち
ちかし
三三、
みわ
三輪
すぎ
むら
ぎがてに なくかむかし
昔の
ほとゝぎす
  
いま
あおば
さくらい
櫻井
に 
きたるきしや
汽車
すみや
やかさ
三四、
こゝよりおりてほど
ちかき はせ
長谷
くわんのん
觀音
ふしをが
  
ゆうりゃくてい
雄略帝
あさくら
朝倉
の みや
ゐせき
遺跡
もたづねみん
三五、
はつせ
初瀬
なみき
列樹
みや
のあと 
はんとすれば

ちて
  
はつせ
初瀬
かは
ゆうなみ
夕波
に ふくやはつせ
初瀬
やま
おろし
三六、
さぐるめいしよ
名所
たの
しさに おも
はずのぼるたう
多武
みね
  
みね
にかがやくかまたり
鎌足
の やしろ
のあたりはな
おほし
三七、
さくらい
櫻井
いでてわがきしや
汽車
は うねび
畝傍
みみなし
耳無
かぐやま
香山
  
かなへ

たるみつやま
三山
を ぜんご
前後

見つゝ
いま
ぞゆく
三八、
うねび
畝傍
ふもと
かしはら
橿原
に はじ
めてみやこ
したまひし
  
みいつ
御威
たか
おほきみ
大君
が みささぎ
御陵
をがめひとびと
人々
三九、
たかた
高田
わかれてみぎ
ゆけば おはち
河内
はし
せんろ
線路
あり
  
みち
にすぎゆくかしはら
柏原
の 
たか
てら
だうみやうじ
道明寺
四〇、
みぎ
まど
よりながめやる かづらきやま
葛城山
みなみ
には
  
なんし
楠氏
しろ


げし こんがうざん
金剛山
もつゞきたり
四一、
しんじやう
新庄
ごせ
御所

ちすぎて わきがみ
掖上
ゆけばじんむてい
~武帝
  
くに
あきつ
蜻蛉
のたま
ひし ほほ
おか
あふ
がるゝ
四二、
をは
ればおこ
てつだう
鐵道
の なんわ
南和
きわ
紀和
つなぎ
ぐち
  
ごでう
五條
すぐればすみだ
隅田
より きい
紀伊
さかい

りにけり
四三、
またたく
くひまにはしもと
橋本
と さけ
えきふ
驛夫
みち
とへば
  

かわ
わたりくどやま
九戸山
を すぎてさり
三里
かうや
高野
まで
四四、
こうぼう
弘法
だいし
大師
このやま
を ひらきしよりはせん

ねん
  
ひぐらし
ひびくこつだう
骨堂
の あたりはなつ
かぜ
さむし
四五、
こかげ
木隠
をぐらきふどうざか
不動坂
 ゆふつゆ
夕露
しげきによにんどう
女人堂
  
みればこころ
もおのづから ちり
うきよ
浮世
はな
れけり
四六、
ふたゝびわたる

かは
の みなかみ
水上
とほくくも
ならで
  

てるははな
よしのやま
吉野山
 

んものをはる
ならば
四七、
あほれしばし
なんてう
南朝
の かり
くわうきよ
皇居
となりたりし
  
よしみずゐん
吉水院
つき
のかげ くも
るかいま


なは
四八、
ゆう
かな
しきふくろふ
の こゑ
よりなほ

にしむは
  
によい
如意
りんどう
輪堂
ほうざう
寶蔵
に のこるやじり
もじ
文字
あと
四九、
おや
のめぐみのこかは
粉河
より また

きしや
汽車
きわ
紀和
せん
  
ふなど
船戸
たゐ
田井

うちすぎて わかやま
和歌山
みえしうれ
しさよ
五〇、

かはぐち
川口
わかやま
和歌山
は なんかいいち
南海一
とかい
都會
にて
  
みや
ひのくま
日前
くに
かゞす
 たび
こゝろ
なぐさやま
名草山
五一、
きみゐでら
紀三井寺
より
わたせば わか
和歌
うら
なみ
しづかにて
  
こぎゆくあま
海士
つりふね
釣船
は うかぶ

さゝ

五二、
あしべ
蘆邊
のあしのゆふかぜ
夕風
に 

つゆ
たまつしま
玉津島
  
とま
しま
にはとうだい
燈臺
の ひかり
よる
うつく
しき
五三、
みかん
蜜柑
のいづるありたむら
有田村
 かね

ひゞくどうじやうじ
道成寺
  
きしゆう
紀州
めいしよ
名所
おほ
けれど みち
とほ
きをいか
如何
にせん
五四、
みかへるあと

ちのこる しろ
てんしゆ
天守
しらかべ
白壁
  
しげ
れるまつ


より いつまでわれ
おく
るらん
五五、
きたぐち
北口
いてではし
りゆく なんかいせん
南海線
みち
すがら
  
まど
した
しむあさかぜ
朝風
の ふけひ
深日
はこゝよゆめ
のまに
五六、
をざき
尾崎

てるほんがんじ
本願寺
 たるい
樽井
にちかきつゝじやま
躑躅山
  
やまず

はる
ふけて はな
うつくしく
ころ
五七、
さの
佐野
まつばら
松原
つらゆき
貫之
が うた

られしありどほし
蟻通
  
あり
のおもひにあらねども どゞくねがひ
きしや
汽車
おん
五八、
かひづか
貝塚
いでしかひありて はやきしわだ
岸和田
しろ
あと
  
こゝはおおつ
大津
かいざゝらば おりてしのだ
信田
くす

五九、
かけじやそで
とよみおきし その
たかし
高師
はま
なみ
  
よするはまでら
濱寺
あとに
て ゆけばみなと
はや
まえ
六〇、
さかひ
はま
ふうけい
風景
に たび
こころ
もうばはれて
  
きしや
汽車
のいづるもわす
れたり かす
むはそれかあはぢしま
淡路島
六一、
だんつう
段通
はもの
刃物
めいさん
名産
に こころ
のこしてまた

  
おき
たひ
つるはな
はる
 いそ
ふね
こぐつき
あき
六二、
そてつ
蘇鐵

あるふるでら
古寺
の はなし
きゝつゝやまとがは
大和川
  
わた
ればあれにすみよし
住吉
の まつ
とうろ
燈籠
ちか
づきぬ
六三、
とほざと
遠里
おの
小野
ゆふ
あらし ふくやあべの
安倍野
まつ
かげに
  
あきいへ
顕家
ふし
父子
やしろ
あり ちうし
忠死
のあとはいづかた
何方
六四、
をさ
まるみよ
御代
てんがちやや
天下茶屋
 さわがぬなみ
なんば
難波
えき
  
いさみて
づるたびびと
旅人
の こころ
はあとにのこ
れども


(※仮名遣いは原文に準ずる、但しフォントが存在しないものを除く)