841 走れ公務員

84101 走れ公務員 1〜4
第1回婦警だってOLョ1998.10.1346:07
  98年、東京。未曾有の就職氷河期の餌食になった女子学生・渚(さとう珠緒)。ようやく決まった渚の仕事は、公務員…婦人警官だった。
 初出勤日。遅刻した渚は、署長・沼田(長谷川初範)に、配属先である生活安全課に早く行くよう言われ、下のフロアへと急いだ。
 しかし、廊下をキョロキョロしていた渚は、青年刑事・武田(金子賢)の勘違いから、刑事課の新人として招き入れられることに。居心地の良さにうっとりする渚。
 同じ頃、生活安全課では最悪の気分でモップ掛けをしている新人・綿貫由佳(奥菜恵)がいた。一方、渚は同僚の若手刑事から、生活安全課の野放し婦警軍団・白百合班の惨状を聞かされ、ゾッとしていた。
「気をつけた方がいいよ、綿貫さんも」
「え? ……綿貫?」
 言われる渚。渚と由佳は間違った部署に入っており、渚は実は、白百合班の新人だったのだ。
 生活安全課に改めて向かい、おそるおそる白百合班の一角に近付いた渚。隔離されたそこだけが、異様な雰囲気だ。そこに白百合班の面々…幸江(山口紗弥加)、あかり(藤崎奈々子)、舞(岩崎ひろみ)、具志川(神取忍)、孝子(磯野貴理子)らが入ってきた。自己紹介する渚。だが誰も聞こうとしない…。
 そこに女子高生への痴漢現行犯で、サラリーマン・浦辺が連れられてきた。事情聴取する渚と、怒りまくる女子高生・恵理。そして「やってない」と主張する気弱な浦辺。
結局、恵理達と浦辺は和解し、彼らは帰ったのだが、腹の虫のおさまらない渚は引き続き捜査をすべきだと主張。だが白百合班の面々は、恵理が手帳に書き込んでいた今日のデート場所らしきカラオケボックスに乗り込んで、男漁りをしようと息巻く始末。恵理が貼っていたプリクラの彼氏がカッコ良かったと言って、その仲間を目当てにしているらしいのだ。「彼氏の友達も集結すんのかしら」と孝子。
「あたし、マイマイク持ってこ」と呟く幸江。
 その日の午後、すっかりカラオケで盛り上がる白百合班に渚は呆れ返っていた。だが別室には、恵理達と、その彼氏の仲間達が怪しい会話をしていた。
 その頃、刑事課は、不正を記した二重帳簿を入手するため、暴力団恵比寿組の家宅捜索に乗り出していた。だが探し物はなかなか見つからない。
 その時、由佳の機転により組長の座る椅子からフロッピーを発見。由佳は大手柄をあげてしまった。
 翌朝。白百合班が全員遅刻のため、渚は新人歓迎会の準備を一人でやるよう言い渡された。
 渚が不満を漏らしていた頃、一台のバスから恵理達が降りようとしていた。すると恵理の手に不意に財布が握らされた。あかりの仕業だ。あかりは恵理を泥棒だと騒ぎ立て、バスから降ろす。そこには白百合班、そして浦辺の姿が・・・・・。
第2回エステツアーで美少年逮捕1988.10.2046:02
  もし白百合班に合コンに誘われたら断るよう、片平(光浦靖子)から言われた渚(さとう珠緒)は、ついでにエステのキャンペーンの紹介を受け、思わず断る。
 が、白百合班の面々は、合コンのセッティングの話題に沸くばかり。呆れた渚が仕事の合間に刑事課の部屋を覗くと、そこではエステサロン『ウィング』の麻薬密売容疑の捜査会議中。記念キャンペーンに潜入し、逮捕への足掛かりをつかもうと、結城(山咲千里)が指揮をとっていた。
 そして翌日。幸江(山口紗弥加)のツテで白百合班が合コンすることになった。会場はスタートルホテル。一方、件のエステサロンのキャンペーン会場も同ホテル。
 由佳(奥菜恵)と武田(金子賢)がカップルを装い、キャンペーンに潜入している頃、白百合班は丸ノ内のOLと偽り、婦警を嫌う若い会社員と合コンをしていた。そこに制服姿の渚が登場。すると渚を見たウィングの社員が内部の人間にその事を伝えたため、由佳達はキャンペーン契約に成功する直前に計画を台無しにしてしまう。
 勤務を放棄して合コンをしていたことを怒られた白百合班だったが、渚の机に『幸せを呼ぶエステ』と書かれたエステのクーポン券を見つけた白百合班は、“パトロール”と称してウィングに出向く。そしてウィング前で呼び込みをしていた17歳のオシャレな美少年・隼人(窪塚洋介)に目をつけた白百合班はパトロールそっちのけでエステに没頭。
 そこに、とうとう証拠をつかんだ刑事課がウィングの家宅捜査に乗り込んできた。慌てる白百合班。さらに慌てるウィング社長・高杉。だがその陰で、静かに部屋を出たウィング社員・渡部がいた。渡部はスタッフルームで隼人が脱ぎ捨てたGパンにつけていたアクセサリーの鍵の束に、持っていた鍵を混ぜ、その場を立ち去るのだった。
 結局、麻薬は見つからぬまま捜査は終了。麻薬を巧みに隠した渡部が、高杉から金を脅し取ろうと企んだからだ。
 武田達の強行が空振りに終わったかわりに、隼人一人が“エステの効果がなかった”ことを理由に補導されることになった。白百合班は美少年の隼人を取り囲むようにこう留するのが目的だったのだ。
 そんな隼人に由佳は、ウィングの覚醒剤容疑の尋問を始めたが、隼人は何も知らず、自分をスカウトした渡部を「金持ってそうだったから」このバイトを始めたと答えるだけ。だがその言葉に引っかかった由佳は渡部の調査を始める。
 一方、隼人の希望で翌朝、隼人と表へ食事に出掛けた渚は、何者かの車に狙われる。が、間一髪、現れた白百合班のミニパトのサイレンの音に気付いた不審車はそっと隼人と渚から離れるのだった。
 その日、渡部が多額の負債を抱えていることに由佳が気付いた頃、学校に登校した隼人は、保護観察を続ける白百合班の目を盗んで裏門から抜け出そうとしたところを、再び不審車に狙われてしまう。その様子を目撃し、不穏なものを感じる渚…。
 同じ頃、由佳の元に、渡部が何者かに襲われ、意識不明の重体だとの知らせが入った…!
第3回警察密着24時VS(秘)ニセ婦警1988.10.2746:00
  連続殺人事件の取材のため、玉坂署にテレビカメラが入った。だがその事件は隣の署で犯人をつかまえてしまったため、あっという間にやることのなくなったテレビスタッフ達は、断固として反対する結城(山咲千里)を押し、白百合班の密着取材をすることに。
 その頃、白百合班達はライブハウスで盛り上がっている真っ最中。すると店内に突然、玉坂町の風紀委員長だと名乗る石原恵津子(田島令子)が乗り込んできて、演奏をやめるよう怒鳴り散らした。ところが、そこに白百合班がいたため、恵津子の怒りはさらにヒートアップ。また何も知らない渚(さとう珠緒)は恵津子がライブハウス前に止めた車を駐禁でレッカー移動したため恵津子の怒りはさらに倍増。
 玉坂署では、取材には困るし、恵津子は怒鳴り込んでこようとするしで大弱り。そこで結城達は優秀な刑事である由佳(奥菜恵)を偽白百合班にでっちあげ、偶然その場に居合わせた渚と共に、テレビカメラの前に立たせることに。
 そこに本物の白百合班が帰って来たため、白百合班は渚の抜け駆けに激怒。しかも、恵津子までもが白百合班をその場に見つけてしまったため、大騒ぎ。恵津子は怒りまくり、掟破りの白百合班を激しくなじるのだった。
 同じ頃、代議士の石原が家から車で出掛けようとしたところを、電柱の陰からじっと見る男…永吉の姿を防犯カメラがおさめていた…。
 一方、恵津子がいる玉坂署に、石原家に「スキャンダルをバラされてたくなければ1千万円出せ」との脅迫状が届いたとの連絡が入った。選挙妨害だと息巻く恵津子。ただちに調査に乗り出す武田(金子賢)達。
 その知らせを行きつけのゲームセンターに警察無線をつなげて聞いていたあかり(藤崎奈々子)が、石原は石原グループを経営し、最近「ナイスガイ・シアター」という店を手掛けていることを知る。
 幸江(山口紗弥加)達の思惑とは別に、由佳と渚は公然猥褻罪取締という名目で、取材カメラと共に「ナイスガイ・シアター」に潜入。だが、そこにはよりにもよって盛り上がる白百合班達の姿が。呆れる渚と由佳。
 片や、玉坂署ではキリキリする恵津子のもとに、石原までも駆け付けていた。だが、脅迫状の文面に心当たりはないかと問われた石原の答えは歯切れが悪く…。
 同じ頃、ナイスガイシアターでは、孝子(磯野貴理子)の贔屓の男の子…永吉…が、孝子の目の前に来る直前、事務所の階段から降りてきた麗子に気付くと、途端、身を翻し、楽屋へはけてしまった。その様子を見ていた由佳は、裏口へ出ると、永吉と麗子が言い争っているのを目撃。車で走り去った麗子は、あるクラブのライターを落として行った…。
 由佳の行動など知らぬ渚は、再び舞台に洗われた永吉を公然猥褻罪の現行犯で逮捕しようとするも、その瞬間、具志川(神取忍)に羽交い締めにされ、取り逃がしてしまう。だが、永吉が外へ逃げると、そこに武田達が現れた。石原家の防犯ビデオに写っていた永吉を犯人と断定、取り押さえるためだった。
 だが、俺は何もしていないと永吉は主張。由佳は麗子が落としたライターの店が気になり…。
 そんな折、第二の脅迫状がきたとの知らせが玉坂署に入った…!
第4回グルメ婦警マツタケでクビ1988.11.1046:02
  チーマー達に絡まれていた似顔絵描きの奥寺健一(中上雅己)を助けた渚(さとう珠緒)と白百合班。
 玉坂署に戻ると、刑事課は報奨金で松茸を振る舞われており、白百合班は羨ましそうにするだけ。
 そこに、薄汚い風貌の老人・野村(山田吾一)が保護されてきた。ますます肩を落とす白百合班。
 その頃、刑事課は連続絵画窃盗事件の捜査に乗り出していた。
 また署長室には一連の窃盗を懸念した画廊の女社長・春日(長野里美)から『ロジーの肖像』という絵を預かって欲しいとの申し出が。
『ロジーの肖像』保管を命じられた白百合班。野村のふてぶてしい態度に手を焼きながらも、報奨金目指して白百合班の面々は沸き上がる。
 その晩、会議室では絵の傍らで白百合班が七輪の上のサンマを囲んでいた。だが煙のせいで、スプリンクラーが稼働。絵はびしょ濡れになってしまう。そのうえ、ひょんなことからその絵を破ってしまい、一同は真っ青。
 翌日、落ち込む渚達のもとに健一が訪ねて来た。その時、健一は破れた絵を見つけ、微かに驚愕する…。
 そこに春日が偶然、入ってきた。健一を見つけ、声をかける春日。
「奥寺くんじゃない。何してるの?」健一は以前、春日に世話になったことがあるらしい。だが突然、春日の様相は一変し、「自分の恥を一生恥じなさい」と白百合班に高飛車に言い捨て、健一を連れて出て行ってしまった。
 署を出るなり、健一は春日を問いただす。白百合班が破った絵は、健一が春日に、技術を磨くには名画の模写が一番と言われて描いた贋作だった。健一は春日に騙され、体よく共犯に仕立て上げられたのだった。
 刑事課では、資料を読みあさっていた由佳(奥菜恵)が、『ロジーの肖像』は3部作で、次は昨日壊された絵がターゲットになっていることを発見。一連の事件で盗まれた絵の中には、壊れた1枚以外の2枚が含まれていたのだ。顔を見合わせる一同…。
 一方、懲戒免職を言い渡された白百合班は、二日後の給料日までの時間稼ぎに、野村の人探しに協力するポーズをとる。野村が探しているのは、昔のガールフレンドだった。孝子(磯野貴理子)の思いつきから、一同は健一に似顔絵を描いて貰おうということになる。
 怯えながら白百合班を訪れる健一。だが健一は、きっぱりとその話を断る。金にならない絵はもう描かないと決めたというのだ。
 武田(金子賢)らが絵を預かろうとすると、「自分の絵を他人に任せるのはもう懲り懲り」とけんもほろろに断られる。
 あまりのキッパリとした断りように、もしや3部作はすでに春日画廊が所持しているのではと疑惑を抱く由佳・・・・・。
84102 走れ公務員 5〜8
第5回アイドル署長VS盗撮マニア1988.11.1746:05
  玉坂署に一日署長としてタレントの松崎彩(仲間由紀恵)がくることになったいた前日の夜、とあるマンションで強盗事件が発生した。
 同じ頃、バイクに乗っていた男を轢き逃げしたとして、盛本(田山涼成)という45歳の男が武田(金子賢)に現行犯逮捕された。だが盛本は武田に逮捕される直前、バイクの男が持っていたカメラからフィルムを抜き取っていた…。
 盛本の取り調べをすることになった渚(さとう珠緒)。だが盛本は徹底して罪を否認するばかり。そして渚の気付かぬうち、巧みにフィルムを隠した盛本は、電話を借りると、どこかにかけた。
「貴重品は私の手元にあります。それについてはこれからご相談したいと思います」
 ロクな手荷物もないのにそんなことを言う盛本に呆れる渚。
 翌朝、彩がやってきた。だがその日、彩が渚にぶつかって怪我をしたため、予定されていた管轄内のパレードは中止。そのかわり彩は、留置場内を見たいと要求する。
 留置人にもプライバシーがあると言う渚の制止を聞かず、彩を案内する白百合班。だが彩が盛本の房の前に来ると、二人は会話を始めた。
「あなた、轢き逃げをしたの?」
「昨夜、バイクと事故を起こしてしまいました」
 突然、昨晩の証言を翻したことに驚く渚を前に、盛本は続けた。
「最後にあなたに会えて良かった」
「私があなたのファン第一号だと思っていますから」
 一方、由佳(奥菜恵)の推理で昨夜のマンション強盗犯にあたりをつけ、水島(NARUKO)という男を連行した刑事課。しかし水島には昨夜のアリバイがあり、取り調べは難航するばかり。
 その頃、彩とマネージャーの天王寺は、周りに人気がないのを確認すると話し始めた。「これじゃいつまでたっても聞き出せないわ」
「もしあれがばれてスキャンダルにでもなってみろ」
 二人は何やら、スキャンダルのネタとなる証拠写真を撮られたことに怯えているらしい。
 かたや、証拠不十分で釈放されようとした水島は、留置場の隣の房にいる盛本に気付き、足を止めた。その時、水島の脳裏を記憶がかすめた…とあるマンションの玄関でフラッシュが焚かれた瞬間、水島の前方で、バイクで逃げたカメラマンを追って車に乗る盛本の姿…。
 その後、轢き逃げされたカメラマンのフィルムに水島の姿も写っていることを知り、彩は狼狽。すると天王寺はある企みを遂行した…
第6回婦警なんて辞めてやるっ!1988.11.2445:49
  玉坂署に、公安部長・伊沢(橋爪淳)の孫息子である良樹(森廉)に、女の声での誘拐予告の脅迫電話がかかってきたとして、良樹の身辺警護が敷かれた。良樹を預かることになった白百合班は、渚(さとう珠緒)を除き、レストランチェーンを経営する大金持ちの実業家である
伊沢との結婚を狙い、良樹への過剰なもてなしをし始めた。良樹は金持ちの息子のため、カードを使って白百合班に食事を大盤振る舞い。白百合班も大喜び。呆れる渚…。
 そこに現れた伊沢が、自分のレストランのメニューについてアドバイスを求めた。なんとなく言った渚のコメントは伊沢を思いのほか感心させ、良樹と共に場所を喫茶店に移し、話に白熱。すると伊沢は、今後いいアイディアを出してくれれば、渚をスーパーバイザーとして迎えたいとまで言う。婦警の仕事にどこか不満のある渚は、そんな伊沢の言葉に少し揺れる。
 だが、ふと気付くと良樹の姿が見えない。焦る渚。話の隙に、良樹が誘拐されてしまったのだ!「子供を誘拐した。一億用意しろ」
 パソコン画面に表示される文字…と思いきや、それは良樹のイタズラで、良樹は渚と伊沢があまりに話に没頭するのを見て、退屈しのぎに隠れただけたった。
 だが渚は、この騒動を起こしたのは渚のせいだと刑事課にきつく叱られ、面白くない。 落ち込み、もの思いに耽る渚。刑事の仕事に喜びややりがいを感じているという武田(金子賢)や由佳(奥菜恵)の話を聞いた渚は、ますます考え込んでしまう。
 数日後。渚の出した企画書に喜んだ伊沢から、さらに打ち合わせをしたいとの電話が入り、渚はいそいそと出かけていく。
 その頃、同じ女の声で再び誘拐を予告する電話がかかってきたとの知らせを聞き、由佳は電話を受けたレストランの支配人・柴田(伊藤俊人)に話を聞きに行く。すると柴田は、以前雇っていた時、伊沢を罵倒して辞めた高橋友子という女の声ではないかと言う。
 同じ頃、レストラン事務室でメニュー作りの打ち合わせをしていた渚は、由佳と鉢合わせてしまい、「良樹の身辺警護」だと口を濁す。そのうえ白百合班は、店内でまたも良樹に食事を奢らせいたため、由佳をますます怒らせる。そんな光景を、遠くから見る女の陰が…。
 ミニパトで良樹を学校に連れて行きがてら、良樹に、やみくもにカードで奢るのはやめろとたしなめる渚。だが良樹は、渚に自分の生まれ年のスペシャルワインをプレゼントすると言うのだった。
 その頃、刑事課では、高橋友子の住まいが架空の住所であることをつき止め、さらに高橋への疑いを募らせていた。
 その日の夕方、良樹を学校に迎えに言った渚は、メニュー作りに没頭していたところ、さっきまでいた良樹の姿を見失ってしまった。
 刑事課に、伊沢のレストランの防犯カメラに、女がワインを取りに言った良樹を連れ去る一部始終が録画されていたとの連絡が入った。良樹は今度こそ、本当に誘拐されてしまったのだ!
 身辺警護中に他のことに熱中して、こんな事態を招いてしまった渚は、沼田(長谷川初範)に「婦警失格」と言われ、呆然自失…。
第7回恋する彼が援助交際なんて1988.12.0145:53
  お昼の食いっぱぐれが続出の玉坂署に、ケータリング弁当屋を始めた佐藤香(直瀬遙歩)という美少女が尋ねて来た。香は武田(金子賢)が昔補導したことのある元不良少女だった。
 雰囲気の変わった香に驚く武田。香は一緒に弁当屋を始めた彼と結婚する予定だと言って紹介し、エンゲージリング代わりのイヤリングを明るく見せた。そんな香を感慨深く見送る武田。だが武田と別れた途端、香の携帯電話が鳴った。
「約束は今夜だ」「待ってるぞ」
 男の声に顔を強張らす香…。
 その晩、とあるラブホテルで殺人事件が起きた。殺されたのは金沢という男。犯人の最上(大河内浩)は、凶器に使った花瓶で手に怪我を負いながら、ベッドの上の白い封筒を掴んだ。封筒には血痕が付着した。舌打ちする最上…と、そこにノックの音が。やってきたのは香だった。死体を目の当たりにした香は驚愕したが、ベッドの上の封筒を咄嗟に掴むと逃走。そして、そんな香を洗面所から隠れて見ていた最上の顔には焦りが漂うのだった。
 香から呼び出され、武田がすぐにホテルにやってきた。だが事情を聞こうとする武田に香は、死んだ男と昔の知り合いだったことを今の恋人に知られたくないと言って口を閉ざす。だが香の素振りから、香が本当に殺人を犯したのではないと直感した武田は、香のことを隠蔽しながら捜査を始める決意をする。しかし、香と武田がホテルから出てきたところを由佳(奥菜恵)は目撃してしまい…。
 同じ頃、香はケータリングカーの中で盗むようにとってきた封筒を開けていた。中には、制服姿の香が中年男とホテルから出てくる写真とフロッピーが入っていた…。
 事件捜査に乗り出す刑事課。金沢は売春容疑の前科者だった。そこにホテルで香らしき女を目撃したとの証言が入る。強張る武田。そんな武田をそっと見る由佳…。
 さらに捜査が進むうち、香と思しき人物がホテルの前でタクシーを拾った際、車を止めた男を『武田』と呼んでいたことが発覚。武田は捜査から外されてしまう。
 その頃白百合班は、香達の弁当を玉坂署に売りまくり、マージンで儲けようと張り切っていた。白百合班に感謝する香。が、そこに再び香の携帯電話が鳴った。最上だった。フロッピーを返せ、あれがなければ商売が出来ないのだと言う。
 その日の夕方、武田は私服姿で、白百合班が弁当を売りさばきにやってきたゲームセンターに出現。白百合班の助力も手伝い、そこにいたチーマー達に取り入った金子は、金沢が昔勤めていたクラブに連れて行くよう話をつける。
 武田がクラブにいる頃、同じクラブのスタッフルームには、最上に呼ばれ、フロッピーを返しに来た香の姿があった。
 かたや、チーマー達とのやり取りから、そのクラブの店長の最上なる人物のこと、そして最上に逆らってフロッピーを持ち出した従業員が殺された話を聞いた武田は、ここで働きたいとうそぶき、最上に会いに行った。
第8回渚、死す!白百合涙の復讐1988.12.0845:53
  クリスマスの1週間前。時効を7日後に控えた7年前の3億円強奪事件を玉坂署が捜査することになった。だが犯人の手掛かりは、B型の男ということだけ。事件はほぼ迷宮入りに近いものだったが、投げやり捜査と見られるわけにはいかない結城(山咲千里)ら玉坂署。そこに、指揮官として本庁から早川警視(池田成志)が来ることになった。ざわめきたつ刑事課…。
 ハーバード卒でFBI研修帰り。妻は法務大臣の長女。未来の警視総監候補。早川はエリートを絵に描いたような男だった。そんな早川に玉坂署の連中は緊張感でいっぱい。だが白百合班は相変わらずのマイペースぶり。
 捜査会議が始まった。早川は案の定の慇懃無礼さで、刑事課の人間に徹底した指示を出す。現在行っている捜査は即刻中止し、被害に遭ったナショナルバンクにリストラされた元行員でB型の人物30人の身辺調査を行えと言う。困惑する刑事達。
 一通り指示を出し終えると、結城に案内された早川が白百合班の視察に訪れた。その時、大騒ぎをしていた白百合班が放ったクラッカーがパンと音をたて、早川の頭上で炸裂した。瞬間、凍りつく一同…。
 即刻、解散命令を下された白百合班。なんとか許しを請う白百合班の訴えも聞かず、全員の部署異動を命令する早川。だが異動先を聞くや、驚くほどあっさり引き下がり、さっさと異動の準備に取り掛かる白百合班に、渚(さとう珠緒)は納得がいかない。だが、そんな渚にも異動命令が下った。なんと刑事課だった…!
 刑事課の一員として地域課に配属された舞(岩崎ひろみ)の元を訪れた渚。だが渚は、舞の楽しそうな仕事ぶりに不満を覚える。同じように、各課に配属になった白百合班達を訪ね歩く渚だったが、皆、想像以上にそれぞれの異動先に順応しており、渚は苛立ちを隠せない。
 そんなある時、刑事課に白骨死体発見の知らせが入った。その知らせになぜか、早川は顔を強張らせる…。
 現場に直行した早川と武田(金子賢)と渚。だが早川に指示された渚が現場にロープを張って見張っていたにもかかわらず、なぜか遺体が盗まれるという事態が勃発。
 その日の夕方。とある墓地にやってきた早川は石の蓋をずらすと、収納袋に入っていた遺体を墓の中にしまい込んでいた。そして中にある銀のジュラルミンケースを見て、安堵の表情を浮かべる…。が、そんな早川が墓地から出てくる姿を偶然、武田が見掛けた。不審に思う武田。
 その晩、紛失した遺体の人物が、強奪事件の犯人だったことが発覚。仲間割れかとざわめく刑事課。そんな中、一人、早川のことが気になる武田は、単独捜査を始める。すると早川の身辺からは、7年前に失踪した弟や、その弟の借金を早川が今も返済しているなど、怪しい事実が次々と浮かび上がってきた。疑惑の念を募らす武田や由佳(奥菜恵)達。だがその様子をこっそり伺う早川の影が…。
 その頃、武田が早川が墓地にいたと話していたことを思い出した渚は、その墓地を訪れる。するとそこには、墓の中からジュラルミンケースと遺体の入った袋を取り出す早川の姿が。驚愕する渚。が、次の瞬間、早川から渚に銃口が向けられ、耳をつんざく発砲音が…!
 後からやってきた由佳が渚を抱き抱えるも、血の気のない顔をした渚の手から、持っていた懐中電灯がゴトンと落ち…。