875 女刑事みずき 〜京都洛西署物語〜

875 女刑事みずき 〜京都洛西署物語〜 1〜3
京野菜の罠!!喪に服さない女の謎2007.07.0545:43
復讐の狩人!!死体に残る暗号の謎!!2007.07.1245:43
祇園祭に消えた少女!!自殺予告の謎2007.07.1945:44
恋日記を綴る死美人!!15年目の殺意2007.07.2645:43
875 女刑事みずき 〜京都洛西署物語〜 5〜8
洛西署VS悪徳弁護士!!料亭殺人の罠2007.08.0245:44
殺人同窓会!まさか,あなたが…!?2007.08.0945:43
京都の夏に人が死ぬ!! ド派手女社長、自首の謎2007.08.1645:44
窓際刑事,京都の恋!! 仕掛けたれた兄妹の罠!!2007.08.2345:43
875 女刑事みずき 〜京都洛西署物語〜 9〜11
京都宇治川に流れる殺意!! 仕組まれた男女交際2007.08.3045:44
10少年は知っている!! 宝石と母を盗んだ男の罠2007.09.0645:29
11アリバイ100%の銃弾!! 洛西署,最後の事件2007.09.1345:43
    
875 女刑事みずき スペシャル
 二人きりの特命捜査…毒殺事件は序章だった!! 死者が死者を隠す殺人トリック!? 偽りの夫婦、哀しき過去2010.06.241:31:32
    
    
    



1 大場刑事、少女の瞳の奥に何かを見る。
 大場みずき(浅野ゆう子)は、京都府警洛西署の刑事。10年ほど前に夫が事件に巻き込まれ亡くなっており、一人息子のあすなろ(依田悠希)と二人で暮らしている。

 ある朝、公園で若い女性の死体が発見されたという連絡が入り、みずきは現場に急行する。だが、すでにベテランの鳴海刑事(小林稔侍)を始め、原田刑事(松重豊)、坂井刑事(小橋賢児)ら洛西署刑事課の面々が到着していて、普段からみずきのことを快く思っていない原田に嫌味を言われてしまう。やがて死体の身元が判明する。名門女子大に通う森川あゆみで、死因は多量のアルコールと睡眠導入剤によるショック死だった。

 そんな中、京都府警から熊沢直也(筧利夫)という刑事が研修で配属されてくる。熊沢は、元会計士で中途採用に応募したという変り種だった。鳴海は、さっそく熊沢とコンビを組むようみずきに命じる。二人が担当することになったのは、近藤マキ(沢井優美)という少女が起こした傷害事件だった。マキはスーパーで万引きを働き、注意された相手にナイフで傷を負わせたのだ。マキには補導歴があり、みずきが優しく接しても心を開こうとはしない。

 一方、あゆみの事件を追っていた鳴海や原田は、彼女がレイプされていたことを知る。そして容疑者として府会議員の息子で大学生の岩瀬祐一を事情聴取するが、人権派の弁護士・沖田(佐野史郎)が現れて、事件との関連を否定されてしまう。

 みずきは近藤マキが岩瀬祐一と関係があったことをつきとめる。マキも岩瀬に暴行されていたのだ。その恐怖体験からナイフを持つようになったことを知る。この事実を上司に報告すべきかどうかで、みずきは熊沢刑事と対立する。みずきはマキの心を思いやって、自分から訴えるまで待とうとしていたのだ。
しかし、熊沢刑事の報告により、刑事課は岩瀬を別件逮捕することに決定した。そのためには、マキに岩瀬を訴えてもらわねばならない。みずきは反対するが、マキ本人は訴えることを決意する。

 岩瀬祐一逮捕の朝・・・刑事課の張り込みをかいくぐって、岩瀬はバイクで逃走をはかろうとした。しかし、みずきがその前に立ちはだかる。が、その時、みずきの携帯にメールが着信する。それは警務課に勤務する玲子(高畑淳子)から、あすなろのケガを報せるものだった。みずきがひるんだすきに岩瀬を取り逃がし、結局、原田刑事が逮捕する。
 家庭の事情のために仕事に失敗したみずき・・・失意のまま、みずきはあすなろの入院する病院に向かう。

 洛西署に連行される岩瀬・・・そんな岩瀬をみつめる少女の目があった。近藤マキである。彼女は岩瀬が刑務所に入ったとしても、数年たてば出所することに耐えられず、自らナイフで刺し殺そうとしていたのだ。しかし、マキを取り押さえる手があった。マキが署にいることを聞いていたみずきだった。「あなたを犯罪者にさせはしない」…マキのナイフを素手でつかみ、みずきはマキの蛮行を止める。身体を張って、弱いものをとことん守り抜く刑事がそこにいた。

 あすなろは学校でいじめられっこをかばった喧嘩でケガを負ったのだった。あすなろのもとに寄り添うみずき。傷を負った親子は笑顔を交わすのだった。
 
2  熊沢刑事、痴漢事件で逮捕さる。
 洛西署管内に放火魔が出没、大場みずき刑事(浅野ゆう子)たちは連日の捜査に追われていた。自宅に火をつけられて危うく消し止めた主婦の安斉すみ江などは、近所に住む独り暮らしの老女・小滝タキが怪しいと、みずきにしきりに訴えるが、タキの犯行だという確証は得られない。

 そんな中、新入りの熊沢刑事(筧利夫)が出勤途中に痴漢を捕まえ、警務課の橘玲子(高畑淳子)や鑑識課の水島茜(真瀬樹里)ら女性たちから賞賛を浴びる。 

ところが数日後、当の熊沢が痴漢容疑で捕えられてしまう。被害を受けたというのは、OLの吉井美香で、バスの中で熊沢に体を触られたと主張、そして、バスに乗り合わせていた田所という男が、現場を目撃したと名乗りをあげていた。
 熊沢を逮捕した署からの連絡で、みずきは鳴海刑事(小林稔侍)とともに駆けつける。熊沢は、二人に痴漢などやってはいないと訴えるが、被害者も強硬に熊沢がやったと言い張る。思い余った熊沢は弁護士の沖田(佐野史郎)に弁護を依頼する。
しかし、事態を重く見た警察幹部は熊沢を謹慎処分にすることを決定する。納得のいかない熊沢だが、みずきはその潔白を信じて、痴漢事件の裏を捜査する。

一方、放火事件の容疑者と目された小滝タキだが、みずきの聞き込みにより、足を悪くしており、機敏に放火現場から逃走できる人物でないことが判明する。

熊沢の痴漢事件に関して、みずきと沖田弁護士がある事実を突き止める。それは被害者と目撃者が金に困っていたという事実だった。何らかの作為を感じ取るみずき。誰かに金で雇われて、熊沢刑事は痴漢の犯人にでっちあげられたのではないのか?その予感は的中していた。
熊沢が痴漢で逮捕した男が逆恨みでした犯行だったのだ。男は事件をきっかけに職も家族も失っていた。熊沢はその男に向かって、こう言い放つ・・・「警官になったのは正義を貫きたいからだ。僕は殴ってやりたい気持ちだが、君に紹介してあげられる仕事がある」。誠実な心の言葉に男は涙を流して懺悔するのだった。

 また、放火事件も逆恨みの犯行であることが判明する。猫を飼って近所に迷惑をかけていた老女のタキを陥れようとした、主婦の安斉すみ江の犯行であった。奇しくも2つの事件の裏には逆恨みが存在したのだった。 
 
3 鳴海警部の息子は、エリート刑事。
 京都と大阪の県境で、2件の小学生誘拐未遂事件が発生し、大阪府警の警部が捜査協力依頼のために洛西署を訪ねてくる。そして、その警部とは鳴海刑事(小林稔侍)の息子の一也(葛山信吾)だったのだ。鳴海の息子が警察官だということを全く知らなかったみずき(浅野ゆう子)や熊沢(筧利夫)は、ただただ驚くばかり。

一也は警部という肩書きでものを言うタイプで、父親の鳴海刑事とはだいぶ肌合いが違っていた。みずきは、そんな二人の間に流れる冷たい空気を感じ取っていた。そんな一也によると、大阪府警に誘拐予告のメールが送られてきていて、その発信元は洛西署管内のネットカフェからだと判明したという。
 
 やがて、鳴海が身元引受人となっている元不良の本庄弘海が容疑者として浮かび上がる。そして、みずきの一人息子のあすなろ(依田悠希)が行方不明になってしまう。公園で若い男と遊んでいるのを目撃されたのを最後に帰ってこないのだ。

 慌てふためく洛西署。本庄弘海に連れ去られたのではないか?一也はその疑念を拭いさることができない。しかし、鳴海刑事は本庄弘海をかばう。対立する親子・・・。
 そんな刑事部屋に若い男が現れた。本庄弘海だった。鳴海刑事が探しているという情報を聞き、駆けつけたのだった。弘海は誘拐犯ではなかったのだ。

 では、いったい誰が?誘拐予告のメールには子供の声がうるさいことに対して、神経質に怒りをぶつける記述があるのを見つけ、みずきは騒音苦情のリストを元に犯人の洗い出しを進めていた。ある小学校の近所に住む中年男が浮上する。
 みずきは一人でその中年男の自宅にむかう。完全な逸脱行為だ。しかし、その部屋にあすなろの携帯電話が落ちているのを発見する。格闘の末、みずきはあすなろを救い出したのだった。

 一也はそんなみずきのやりすぎともいえる行為を目の当たりにし、不思議な感銘を受けていた。データだけでは人間は計れない。一也は父である鳴海刑事とも心を通じ合わせて、洛西署を後にしたのだった。
 
 4 みずきのライバル、新人女刑事が着任。
 
 大阪でニセ一万円札が発見され、京都洛西署にも注意を促す緊急通達が送られてきた。
 そんな中、生活安全課の滝本千夏(遠山景織子)が刑事課に異動してきた。千夏の自信たっぷりな態度に、子持ちの大場みずき刑事(浅野ゆう子)や古参の原田刑事(松重豊)は内心おもしろくない。

 その夜、みずきのもとに熊沢(筧利夫)から、千夏が暴漢に襲われて病院に運ばれたという連絡が入る。みずきが、千夏が襲われたという現場に駆けつけたところ、そこには腹から血を流した若い女の死体が転がっていた。

千夏によると、路上で女に助けを求められ、その直後に暴漢が現れて女をナイフで刺し、自分も腕を切りつけられたと言う。千夏の傷はたいしたことはなかったが、目の前で人が殺されたというショックから、彼女はすっかり自信をなくしていた。

 一方、みずきと熊沢はギター店の盗難事件を担当することとなる。ロックギタリストであるジミー・ヘンドリクスが使っていたというプレミアギターと金庫の現金が盗まれたという。やがて、盗品のギターがマニアの市場に出回っていることが判明。しかも、購入者が沖田弁護士だったため、犯人は早期に逮捕することができる。しかし、犯人はギターしか盗んでおらず、現金には触っていないという。このことをオーナーに伝えたところ、現金については諦めるという。

 一方の千夏は、その後、ショックから立ち直り、現場復帰していた。しかし、みずきは彼女が単独捜査をしているところを目撃し、注意するが、千夏は聞く耳を持たない。みずきは千夏が何かを隠しているのではないかと不審感を抱く。

 意外なところから事実が発覚する。まず、みずきと熊沢が解決したギター店だが、オーナーが裏で偽札事件の首謀者であることが判明。しかも、その偽札事件に絡んでいた若い女性が口封じのために殺されていた。この女性が千夏の目撃した事件の被害者だった。さらに、みずきは千夏の嘘を見抜く。千夏は暴漢には襲われておらず、自分で傷をつけたのだった。というのも、刑事になりたいというプライドと裏腹に、女性を守れなかった自分がいたからだ。

 みずきは千夏とともに、ギター店のオーナーを逮捕する。千夏にとって、最初で最後の逮捕劇だった。千夏は、これを機に、警察をやめたのだった。


5 沖田弁護士、恐喝犯を告訴する。
 沖田弁護士(佐野史郎)が洛西署の刑事課に現れた。洛西署管内の病院長・吉岡が広瀬雄司という男に脅迫されているというのだ。沖田は、吉岡が石井に詰問されている電話の録音テープや、吉岡の自宅の塀に貼られた“人殺し”などと書かれたビラの写真などを持参していた。どうやら医療ミスの問題でもめているらしい。

 沖田に被害届を出されたため、みずき(浅野ゆう子)と熊沢(筧利夫)は、広瀬の自宅を訪ねる。だが、広瀬は電話を掛けたことは認めたが、ビラなどを貼った覚えはないという。広瀬によると、三月ほど前に入院中の二歳になる息子が突然死亡してしまったというのだ。広瀬は、なぜ息子が突然死んだのか、吉岡にその明確な説明を求めているだけだと主張した。

 広瀬にはもう一人小学生の娘・優花(美山加恋)がいて、みずきは優花が自分の息子あすなろ(依田悠希)と同級生だと知る。みずきは、広瀬の妻・佳代(中島ひろ子)にも会うが、とても質問に答えられるような精神状態ではなかった。

 数日後、吉岡が何者かに金属バットで殴られ意識不明の重体に陥ってしまう。まっさきに疑われたのは、広瀬だった。しかし、広瀬は犯行を否認する。

みずきは、病院長の周辺を捜査する。いったい何があったのか?広瀬が言うように、息子の死は病院側の診察が遅れたというミスがあったことが看護婦の証言から判明する。しかし、それでは広瀬の動機が裏づけられたにすぎない。
さらに、捜査が進むと、病院長の秘書が過去の愛人であり、捨てられた腹いせにビラをつくったり、バットで襲撃したことが判明し、事件は終結を迎える。

しかし、みずきの心残りは、広瀬一家のことだった。広瀬の妻は、生きる気力をなくしており、娘の優香も元気がない。みずきはなんとか力になりたかったのだ。

そんな中、優花が家出した。しかし、何もしようとしない母・・・みずきはそんな姿を見かねて、母を叱り飛ばす。「息子が亡くなったことは悲しいことだけど、優花ちゃんもあなたの子供なの!」。その言葉で我に帰った母は、みずきとともに優花を探しに出かけた。見つかった優花は、落ち込んでいた。両親が自分のことを見てくれないことを気に病んでいたのだ。泣きながら優花を抱きしめる母、そして父。広瀬家は再びひとつに戻った。みずきに笑顔が浮かんだ。 


6 みずき、恋の噂を流される。
洛西署管内のマンションで、居住者の一人が自宅のベランダから転落死した。現場に急行したみずき(浅野ゆう子)は、そこで北山署の吉村刑事(風間トオル)と顔を合わせる。吉村の話では、転落死したのは猪口という男で、一年前に起こったクラブホステス殺しの容疑者として追っていたというのだ。

 一年前に殺されたのは、クラブ『樹海』に勤めていた伊藤明日香という女子大生のホステスで、自宅マンションで絞殺体で発見されたという。そして、明日香の遺体を発見したのが当時『樹海』のバーテンダーだった猪口だということだった。その後、明日香の部屋からなくなっていた貴金属を猪口が古物商に売り払っていたことが判明、吉村は明日香への殺人容疑で猪口を追っていたというのだ。

 みずきたちの捜査の結果、猪口はベランダから突き落とされたらしいとわかる。さらに、部屋にあった遺留品から、猪口の転落の直前まで女が部屋にいたことも判明する。事件のカギは『樹海』にあるらしいとわかり、原田(松重豊)、坂井(小橋賢児)両刑事はおろか熊沢刑事(筧利夫)までが、客に成りすましてこの高級クラブに出掛けていく。

 一方、みずきは警務課の玲子(高畑淳子)から、吉村は独身だと聞かされ、さらに彼と付き合うよう勧められるが、もとよりみずきにその気はない。しかし、署内ではその噂で持ちきりだった。

 やがて、明日香殺しの裏には、大学教授の座を狙う闘いがあったことが判明する。史学科の教授になるため、堀譲(井田國彦)という男が伊藤明日香と共謀し、ライバル助教授のセクハラ事件をでっちあげていたのだった。みずきは、堀が口封じのために明日香を殺したのだと推理する。
 さらに、堀の明日香殺しを知った猪口が脅迫していた事実も浮かびあがる。猪口とともにクラブ『樹海』に勤めるクララというホステスがグルになっていたのだが、仲間割れのためにホステスが猪口を殺したことも判明する。
 事件の構図はすべて明らかになった。しかし、ここで思いもかけぬ事態が発覚する。

 堀譲は、吉村刑事の弟だったのだ。吉村刑事は捜査に加わり、堀の犯行がバレないように捜査をかく乱しようとしていたが、みずきの存在によって、その思惑が崩れたのだった。
 
 堀譲と吉村刑事はすべての罪を認める。優秀な兄、そして弟はその兄の期待に答えるべく、殺人まで犯して教授になろうとしたのだった。ひとつの罪がさらなる悪夢を招いていったのだった。歪んだ兄弟関係のうんだ悲劇だった。 
 
 
7 原田刑事、時効直前の殺人事件を捜査する。
15年前、佐伯俊彦というサラリーマンがケンカの末にビール瓶で殴り殺された。そして、犯人を特定できぬまま、あと2週間あまりで時効を迎えようとしていた。
 
この事件を人一倍気にかけ、苦にしていたのが、当時はまだ交番勤務で、この事件を手がけた原田刑事(松重豊)だった。原田にとって、初めてかかわった殺人事件が迷宮入りしてしまうのは何としても耐えられないことだった。
 そんな中、質屋強盗が発生、みずき(浅野ゆう子)たちは現場に駆けつける。現場の状況から、このところ頻発している事務所強盗と同一犯の仕業と思われた。ところが、店内に残されていた多数の指紋の中から、15年前の事件でビール瓶に残されていた指紋と一致するものが見つかったのだ。
鑑識からのこの報告に、はやり過ぎた原田は、上司の鳴海刑事(小林稔侍)にたしなめられ、熊沢(筧利夫)と組んで捜査に当たるよう命じられる。

一方、みずきは警務課の玲子(高畑淳子)から、行きつけの美容院の女性経営者・御法川悦子(伊藤かずえ)が夫から暴力を振るわれているらしいので、一度様子を見に行ってほしいと頼まれる。確かに、悦子にはあざや傷痕があり、暴力を受けているようだった。しかし、悦子本人はみずきに何ともないと言いはる。

 パトロール警官による偶然の発見で、事務所強盗の犯人が逮捕される。しかし、15年前の殺人事件容疑者と指紋は一致しなかった。しかし、神は見捨てなかった。原田と熊沢による捜査の結果、観葉植物を配達する業者の一人が事件の直後、退職していることがわかったのだ。この男が犯人である可能性が高い。刑事課はいろめきたつ。

 みずきは、悦子が家庭内暴力の事実を隠してまでも、守るべきことがあるのではないかと疑っていた。それは、悦子がひた隠す愛人の存在だった。いや、愛人という言葉で表されるよりは、純粋な関係にある男性だった。その男は新村省吾…観葉植物を配達する業者だった。

 ここで2つの事件がひとつにつながる。新村は15年前のケンカ殺人の犯人だった。時効までおよそ2週間、悦子は新村を逃がすため、警察にできるだけ近寄ってほしくなかったのだ。そこで家庭内暴力の被害についても警察に訴えることをしなかった。

 みずきは悦子の良心に訴えた。「新村の居場所を教えて欲しい。殺人被害者の母は、今でも毎日、事件の情報を求めるビラを配りつづけている。犯人が逮捕されない限り、この母にとって事件は終わることがない…」と。
 悦子は新村の居場所を白状した。

 原田刑事はある人物のもとに向かった。殺人被害者の母のもとである。深々と頭を下げたあと、原田は犯人が逮捕されたことを告げた。母はその場で泣き崩れたのだった。 
 
8 刑事として、母として、みずき、決断の時…洛西署、最後の事件。
車輌窃盗犯を追っていた鳴海刑事(小林稔侍)が、犯人は逮捕したものの足を骨折し、1ヶ月の入院生活を余儀なくされる。そのため、みずき(浅野ゆう子)は遠山課長(山田明郷)から、鳴海が不在の間、主任代理となるよう申し渡される。この処遇に、ベテランの原田刑事(松重豊)は不満の色を隠そうともしない。

そんな中、沖田弁護士(佐野史郎)が、命を狙われているので警護をつけてくれと、刑事課に訴えてきた。沖田の話では、5年程前、八木沢という強盗犯の弁護を引き受けたところ、沖田が考えていたよりもはるかに重い刑となり、さらに受刑中に八木沢の妻が病死したため、八木沢は沖田を逆恨みし命を付け狙っているというのだ。
みずきたちは沖田の訴えを取り上げようとしなかったが、沖田が洛西署の上層部に泣きついた結果、熊沢刑事(筧利夫)が当分の間、沖田の警護に当たることになってしまった。

数日後、小川泰三という独り暮らしの裕福な老人を狙った強盗殺人放火事件が発生する。ところが、大阪でも同様の事件が数件起こっていて、大阪府警から叶葵刑事(秋本奈緒美)が部下の工藤刑事とともに合同捜査のために洛西署にやってくる。
みずきは主任代理として原田たちに捜査方針を指示するが、原田は異を唱えてみずきと対立する。さらに、葵もみずきに対してライバル心を剥き出しにする。

やがて、小川宅で発見された毛髪の鑑定結果が出て、五年前に起こった景品交換所強盗事件の犯人のものとDNAが一致することが判明する。黒井敦(近藤公園)というその犯人の名をきいたみずきは愕然とする。

10年前、みずきの夫・大場宏(原田龍二)は、非行少年たちのオヤジ狩りを止めに入って逆に殺されてしまったのだが、夫を殺した当時の少年が黒井敦だったのだ。すでに黒井はその事件では刑を終えていたが、みずきは心穏やかではない。   
黒井の一件が判明したことにより、みずきは葵の上司への進言で捜査から外されそうになる。しかし、復帰した鳴海刑事の助言もあって、みずきは捜査班に残ることを許される。

黒井はあっさりと任意同行に応じて、洛西署に連行された。殺人事件への関与を否定する黒井には、アリバイがあったのだ。事件のあった日、杉田という男と釣りに行っていたという。杉田はみずきの夫を殺した事件に居合わせた共犯者だった。
 みずきは、廊下で黒井とすれ違う。みずきに罵声を浴びせかける黒井。そのとき、みずきは黒井を思わず平手で打ちつけてしまう。押さえつけていた感情が噴き出たのだった。みずきは自分の中にまだ“恨み”という感情が残っていたことに驚く。
 そして、鳴海刑事に告げ、しばらく休暇をもらうこととした。

数日後、京都の事件と大阪の事件が繋がり、大阪府警に出向いた熊沢は、そこで鳴海刑事の息子の鳴海一也警部(葛山信吾)と再会する。逮捕した八木沢は、沖田弁護士が睨んだ通り、恨みを抱いての嫌がらせだった。また、八木沢が強盗殺人事件の際に盗まれた貴金属を持っていることが判明する。それは、森という男から売りさばくように言われたものだという。森は、黒井の友人だった。強盗殺人は、黒井と森の共謀による犯行だった。また、黒井を追いつめる材料がひとつ増えた。残るはアリバイの問題だけである。

みずきは、息子のあすなろと共に遊園地に出かけた。なぜ、父は死ななければならなかったのかと問いかけるあすなろに、みずきは事件の全てを語る。辛いことでも伝えなければならない…みずきは母として決意したのだった。聞いたあすなろから出た言葉は「そんな父さんが好きだ」というものだった。正義を貫いた父を認める大人の言葉だった。
みずきの目から涙があふれ出た。そして、この子を守るためにも、私は正義のために生きなければならない。そして、黒井を逮捕せねばならない。
その後、みずきは杉田のもとを訪ね、黒井のアリバイが嘘だという証言を引き出す。後は、黒井を追いつめるだけだった。

黒井は大阪にいた。刑事たちは、黒井が潜伏する倉庫に突入。拳銃を手にしたみずきが黒井を追いつめる。“恨み”という感情に左右されることなく、冷静に対処し、刑事たちは無事、黒井を逮捕したのだった。

後日、拘置所にいる黒井はみずきを呼び出す。「なぜ、俺を殺さなかった?」…黒井はその疑問を口にした。みずきは息子のためだと言い切った。恨みで人を殺せば、自分も黒井と同じ殺人者でしかない。守るもののために生きている…みずきの強い意思がこもった言葉だった。

明け方、みずきはあすなろの寝顔を見ることができる喜びをかみ締めながら、朝を迎えるのだった。  
 










1 京野菜の罠
大場みずき(浅野ゆう子)は、京都洛西署刑事課の警部補。そんなみずきの友人で洛西署警務課の橘玲子(高畑淳子)は、ある日彼女のために見合いをセッティングする。ところが、イタリアンレストランに設けた見合いの席に、みずきはいつまでたっても現れない。みずきはそのころ、見合い話などすっかり忘れ、コンサート会場でスリを相手に奮闘していた。新任刑事課長が赴任
  
 
するまで、課長代行として、張り切らざるを得ない立場にあったのだ。

 翌日、みずきは、なぜ見合いに来なかったのかと玲子に文句を言われる。シェフ自ら採ってきた葉物野菜を使ったピザが絶品だったと玲子は言う。
 ところが、そのシェフ・笠間(石橋保)が、店内で殺害されたという知らせが入る。死体を発見したのは、アシスタントシェフの柳だった。みずきは、彼女の天敵である原田刑事(松重豊)、新人の竹尾刑事(黄川田将也)らとともに現場に急行、自宅にいた笠間の妻・頼子(若村麻由美)も駆けつけてくる。 

 現場には窓を割られた跡があり、現金やワインが盗まれていた。どうやら手馴れた窃盗犯の仕業らしい。竹尾によると、笠間は野菜料理の達人として有名だったという。そんな中、鳴海警部補(小林稔侍)が現場に到着する。鳴海は相変わらずマイペースで何を考えているのかわからない。
  
 
 一方、みずきは、厨房勝手口の外に、篭に入ったままのカボチャやナスなどの京野菜を見つける。だが、それを見た瞬間、みずきは何かおかしいと直感するが…。 


2 復讐の狩人
京都洛西署の刑事課に新任課長・徳永(野村宏伸)が着任、大場みずき刑事(浅野ゆう子)には、見合いをすっぽかされた腹いせなのか、何かと辛く当たり、みずきを苛立たせる。  そんな中、管内で殺人事件が発生する。被害者は、広告代理店の営業本部長・渋谷で、死因は絞殺だった。渋谷のネクタイがなくなっていることから、自らのネクタイで首を絞めら
  
 
れたものと推察された。事情聴取の結果、渋谷は9時半過ぎに外からオフィスに戻ってきたことがわかる。オフィスに入るにはIDカードが必要なことから、会社の関係者が犯人の可能性が高いと思われた。
 

 徳永に止められているにもかかわらず現場に向かったみずきは、渋谷の死体の胸に『オリオン座』が印刷されたチョコレートのおまけカードが置いてあるのに目を留める。このカードの持つ意味とは…?さらにみずきは、会社の清掃員・宮古雅恵(筒井真理子)の言葉をヒントに、シュレッダーにかけられていた渋谷のネ
  
 
クタイを見つける。だが、細かく裁断されたネクタイからは、手がかりになるようなものは何も発見されなかったが・・・。 


3 祇園祭に消えた少女
祇園祭でにぎわう中、警務課の橘玲子(高畑淳子)と祭り見物に出かけた大場みずき刑事(浅野ゆう子)は、若い娘(満島ひかり)が男にバッグをひったくられるのを目撃、男を捕えて洛西署に連行する。

 一方、洛西署管内の河原で、他殺か事故か判然としない若い女の死体が発見されていた。
  
 
死体の身元は、石井恵里華というクラブホステスで、死因は溺死だった。徳永刑事課長(野村宏伸)は、非番のみずきを気づかい、明日からこの事件の捜査に当たるようみずきに命じる。だが、いつもと違っていやにソフトな口調で語りかけてくるので、みずきは思わず驚いてしまう。 

 やがて、小森巡査(小林健)がひったくり現場から戻ってきた。ところが案内してきたはずの被害者の姿が見えない。被害者の娘は途中で姿を消してしまったというのだ。ひったくられたバッグが手元に残っていたため、彼女の名前が江藤泉だとわかる。さらに、バックの中からワープロで印字された『死んで全てをリセット
  
 
したい。今夜私は私にさよならします』という遺書のようなものが出てきた。

 これを見たみずきは、泉の住所を訪ねるが、そこは竹工芸店だった。泉の父・江藤久(平田満)に、みずきはこれまでの経過を説明、自殺の恐れがあると告げる。だが、江藤は「死にたいやつは死ねばいい」と冷たく突き放すように言うのだった…。 


4 恋日記を綴る死美人
早朝の公園で後頭部に傷を負った女の死体が発見され、みずき(浅野ゆう子)は、現場に急行する。所持品から、死体は物流会社のOL・天野深雪(山下容莉枝)と判明する。死体をあらためていたみずきは、傍らにボタンが一個落ちているのを見つける。だが、そのボタンは深雪の服のものではなかった。
 一方、深雪の勤務先に行った鳴海刑事(小林
  
 
稔侍)は、深雪の机を調べると、ビニールマットの下に一枚のポストカードが挟まれているのを見つける。それは藤城琢磨(神保悟志)というカメラマンが撮影した雪景色を印刷したもので、『これからも二人で歩いていこう』という文字が書かれてあった。 

 そのころ、竹尾刑事(黄川田将也)とともに深雪のアパートに出向いたみずきは、深雪が有名なブログ小説の作者だと知る。さらに、深雪が死亡した直前に市内の出版社から彼女宛に電話があったことがわかる。
 その出版社を訪ねたみずきは、西久保舞(前田亜
  
 
季)という編集者が深雪のブログ小説を出版しようと彼女に接触していたことを掴むが…。 


5 京都老舗料亭殺人
ある夜、老舗料亭の主人・勝木俊夫(浜田晃)が、店の裏手で死体となって発見され、連絡を受けたみずき(浅野ゆう子)は現場に急行する。死体には後頭部に傷があったが、周りに流れ出たはずの血の跡が見当たらない。そんな中、原田刑事(松重豊)から事情を聞かれていた仲居たちの一人がしゃがみ込んでしまったのをみずきは目に留める。
  
 
一方、鳴海刑事(小林稔侍)は、死体のそばに血痕の付着したビニールの破片が落ちているのを見つける。

 翌日、洛西署に徳永刑事課長(野村宏伸)を訪ねて、沖田弁護士(佐野史郎)が現れる。沖田弁護士は、裁判に勝つためには手段を選ばない男として、洛西署の刑事たちから嫌われており、みずきもあまり係わりたくない相手だった。 

 徳永に会った沖田は、自分は勝木の顧問弁護士だと名乗り、勝木には自称実業家の俊一というドラ息子がいて、勝木はこの俊一に遺産を相続させないよう手続きをとっていたというのだ。勝木の死体が発見される数時間前に、勝木と俊一が激しく言い争っていたことがわかっていた。
  
 
 沖田は、あたかも多額の借金を抱えた俊一が遺産目当てに父親を殺害したと示唆するような発言をして、徳永のもとを去っていった。

 この沖田の発言に力を得た徳永は、俊一逮捕に踏み切る。だが、俊一は“自分は父親を殺していない”と主張。沖田は純粋に情報提供を行なうような弁護士ではない。沖田の狙いはどこにあるのか?やがて、みずきは仲居の文子が妊娠しており、父親が勝木らしいと知る。しかし、なぜ沖田はそのような大事なことを隠していたのか?みずきは徳永に嫌味を言われながらも独自の捜査を始める。 


6 殺人同窓会
大学の同窓会に出席したみずき(浅野ゆう子)は、久しぶりに友人の久保田里深(床嶋佳子)と顔を合わせる。里深は呉服屋の若主人・久保田達広(大高洋夫)と結婚、呉服屋は倒産してしまったが、その後始めたブティックが当たり、今では夫は市会議員になっているという。
 翌朝、里深の経営するブティックで変死体が発見される。死んでいたのは店員の榛名友子(浜丘麻矢)。
  
 
 現場に急行したみずきは、友子の死は青酸性の毒物によるものだと知る。前夜、友子は一人で残業していたということだった。床にはティーカップの破片が散乱していて、拾い集めてみると2客分あり、客があったことが推察された。友子は紅茶の中に入れられた毒物を飲んだらしい。 

 洛西署に戻ったみずきは、徳永刑事課長(野村宏伸)から、この事件の捜査から外れるよう命じられる。事件の関係者と知り合いだというのはまずいというのだ。友子の死亡推定時刻の頃、里深は自分と一緒にいたので事件とは無関係だと主張しても聞いてはもらえない。
  
 
 しかしみずきは徳永の命令を無視し捜査を続ける。やがて、里深の夫・久保田と友子との親密な写真が明らかになり、久保田に疑いの目が向けられるが・・・。 


7 ド派手女社長、自首の謎
地元の商店街を歩いていたみずき(浅野ゆう子)と玲子(高畑淳子)は、レコード店の前に人だかりがしているのを目に留める。覗いてみると、京都出身の人気演歌歌手・弓削薫(一條俊)のサイン会が行われていたのだった。


  
 
翌日、市内のマンションの空き室で、バスルームに手錠で繋がれた女の変死体が発見される。発見したのは、、不動産会社社員の水野孝美(三輪ひとみ)だった。孝美によると、死んでいたのは1年ほど前まで同じ不動産会社に勤めていた山崎桃子(舟木幸)だという。 

事情を聞きに不動産会社を訪ねたみずきは、社長の松沢路子(左時枝)から、桃子は会社の金を使い込んだため1年前にクビにしたという事実を聞かされる。そして、必ず金は返済すると約束したにもかかわらず一向に返そうとしないため、反省を促すために昨日マンションの空き室に連れ込んで監禁したというのだ。だが、桃子が死んだからには自首するという路子を連れて、みずきは洛西署に戻った。
  
 
やがて、桃子の死因は糖尿病の悪化によるものと判明する。彼女は、24時間以内にインスリン注射をしないと必ず死亡する特殊な糖尿病に罹っていたのだ。だが、彼女の遺留品のバッグの中には注射器は入っていなかった。この事実を聞かされた路子は、桃子の特殊な病気のことなどまったく知らなかったと主張するが…。 


8 窓際刑事が愛した女
鳴海刑事(小林稔侍)の様子がこのところどうもおかしい事に気付いた竹尾刑事(黄川田将也)があとをつけたところ、鳴海は花束などを買い込んで一軒の和菓子屋に入っていく。鳴海は応対に出た女店員(遊井亮子)に照れくさそうに花束を渡している。どうやら年甲斐もなくこの女店員に恋心を抱いているらしい。
  
 
そんな中、悪徳町金融の社長・恩田(上杉祥三)が事務所で殺されるという事件が発生、みずきや原田は現場に急行する。恩田は腹と胸の二カ所をナイフで刺されていて、推定死亡時刻は前日の深夜だとわかる。聞き込みの結果、若い男が前日の深夜に事務所から走り去るのを近所のコンビニの店員が目撃していることが判明する。さらに、恩田から無能呼ばわりされていた田辺章(正名僕蔵)という若い社員が無断欠勤していることがわかり、鳴海と原田が田辺のアパートへと向かう。 

田辺のアパートには、彼の妹・田辺東子だけがいて、兄は昨夜から帰ってきていないというのだ。東子から事情聴取しているとき、鳴海の様子がおかしいことに原田は気づく。なんと、東子は鳴海が惚れている和菓子屋の店員だったのだ。
  
 
鳴海とみずきは、田辺から連絡があるのではと、東子を見張りはじめたのだが…。 


9 花嫁のいない結婚式
洛西署の刑事課で、徳永課長(野村宏伸)がみずき(浅野ゆう子)にプロポーズし、彼女がそれを受けたというウワサが流れ、みずきは鳴海(小林稔侍)や原田(松重豊)から好奇の目で見られてしまう。



  
 
そんな中、島尚子(草村礼子)という女性が神社の階段から転落、意識不明の重態に陥るという事件が発生する。目撃者の証言によると階段の上に不審な人物がいて、尚子が転落した直後に慌ててその場を立ち去ったという。やがて、尚子には、京都市内に暁子(渡辺梓)という大手企業に勤める娘がいることがわかる。さらに、その日、近々暁子が結婚するというので、200万円を貯蓄からおろしていたことも判明する。 

みずきから事情を聞かされた暁子は、結婚の予定などないという。尚子か暁子のどちらかがウソをついているらしい。だが、どちらがウソをついているのか、なぜウソをつかなければならないのか、みずきには判断する材料がない。翌日、みずきは暁子が勤めている会社を訪ねたところ、暁子はすでに3年前に退職していることがわかったのだが・・・。
  
 


10 少年は知っている!
宝石店から時価十数億円の宝石が盗まれた。みずき(浅野ゆう子)や鳴海(小林稔侍)たち洛西署の刑事の必死の捜査にもかかわらず、犯人に繋がる手がかりは得られない。



  
 
数日後、立ち番中の小森巡査(小林健)のもとに戸梶(中西良太)と名乗る男が、中学生の娘の行方がわからないと届け出てくる。ところが、詳しい話を聞こうとしたとき戸梶の携帯電話が鳴る。電話を切った戸梶は、娘は友達の家に泊まっていたようだと言い残し、そそくさと帰ってしまう。 

その日、管内の池で女の水死体が発見される。鑑識の調べで、女はナイフで刺された後、池に投げ込まれたことが判明する。さらに所持品から、被害者は数日前に強盗に入られた宝石店の社員・池内麻里(山本香織)だとわかる。
  
 
そのころ、原田刑事(松重豊)は署に向かう途中、迷子の男の子を保護する。男の子は、自分の名前を学(杉山翔哉)と言った以外、何も答えようとはしない。みずきや竹尾刑事(黄川田将也)が、いくら学に話しかけても、ろくに返事もしないが、いかつい原田にだけにはなぜかなついてしまい、みずきたちをビックリさせる。原田の上着を握ったまま離そうとしない学を何とかなだめて、被害者である池内麻里の自宅に向かった原田とみずきは、ある驚愕の事実を知る…。 


11 洛西署、最後の事件
課長昇進のための研修を受けることになったみずき(浅野ゆう子)は、徳永課長(野村宏伸)から、『出世稲荷神社』の“出世鈴”をプレゼントされる。課長昇進が決まれば、洛西署を去り、別の所轄に異動することになるみずき…。


  
 
そんな中、拳銃による殺人事件が発生する。殺されたのは職業不詳の清川という男だった。アパートで一人暮らしの清川は、つい先日、製菓会社のお客様相談室の社員・沢渡(林剛史)を近所の喫茶店に呼び出し、「お前のところの製品を食べて腹を壊した」とインネンをつけ、小突きまわした挙句、金を巻き上げていったという。 

製菓会社を訪ねた竹尾は、沢渡の前夜のアリバイを聞き出すが、同僚の証言とは食い違っていて、竹尾は彼の犯行ではないかと疑いを持つ。



  
 
その後、緒方(吹越満)というラーメン店主が、食い逃げを捕まえてくれと、丼を持って洛西署に現れる。緒方によると、持参した丼に食い逃げ犯の指紋がついているはずだという。

数日後、沢渡が拳銃を入手しようとしていたとの情報を得るが、緒方の持ってきた丼に付着していた指紋が沢渡のものと判明、緒方の証言から、清川が殺害された時刻には、沢渡は緒方の店でラーメンを食べていたことがわかるが…。